2019年03月12日にオリックス生命保険が新しい外貨(米ドル)建終身保険を発表しました。(発売は4月2日)
その名も「米ドル建終身保険Candle」
高い返戻率が期待できそうな商品ですが、その特殊な商品設計から
個人的には将来的な後々にトラブルが頻発しそうだなぁ、と思ったので紹介することにいたしました。
外貨建保険について
こちらで外貨建て保険のメリット・デメリット、仕組み等々紹介しておりますので、よろしければご参照。
で、「米ドル建終身保険Candle」のどこが特殊なのか
「米ドル建終身保険Candle」の最大の特徴は
保険料の払込期間は死亡保障が(ほとんど)無い、という点です。
出典:「米ドル建終身保険Candle[キャンドル]」の発売について ~米ドルで運用する外貨建終身保険を商品ラインアップに追加~
※上の図は公式HPから引用させていただきました。
契約日から保険料払込期間の保険金が既払込保険料相当額と記載されています。
つまり、保険料を払い込んでいる最中に死亡した場合、設定した保険金額ではなく払い込んだ保険料が(多少目減りして)返ってくるイメージですね。
※正確には保険料払込期間中は不慮の事故・感染症で死亡・高度障害になった場合は保険金額の満額が受け取れますが
それ以外の理由で(がん等)亡くなった場合は支払った保険料が少し目減りして返ってくるだけ、となっています。
一部の保険期間の保障を減らすことで保険料を下げ、後の返戻率を引き上げているのでしょう。
どういう人におすすめなのか
「米ドル建終身保険Candle」に、20代~50代ぐらいの方が60~65歳まで保険料を払い込むとします。(おそらくこういった加入が一般的)
その場合、働き盛りの間の死亡保障は抑えられますが(無い、といっても過言ではありません)
60~65歳以降の(保険料を払い終えた後の)死亡保障と高い返戻率の解約返戻金が得られます。
死亡保障はあまり期待せず、将来の高い返戻率(資産運用)が保険で欲しい人とかにはいいのかもしれませんが
個人的には、それなら保険じゃなくて、別の運用方法のがいい気がしますね・・・
なにが問題なのか
ずばりは死亡保障が無い、という点です。
もちろん加入に当たり、保険料払込期間中の保険金額が無い事の説明はきちんとあるでしょうし
加入者はもちろん、その家族もその場では理解して契約するでしょう。
が、保険とは基本的に十年単位で長く付き合うものです。
終身保険の場合十年、二十年・・・、忘れたころに万が一って事を想定すると
死亡保険金を受け取る「残された家族」とのトラブルが容易に想像できます。
普通の外貨建て終身保険でも、トラブル・クレームが多発していたことを考えると・・・やっぱりおすすめはできませんね。
商品例、気になる返戻率は・・・?
出典:「米ドル建終身保険Candle[キャンドル]」の発売について ~米ドルで運用する外貨建終身保険を商品ラインアップに追加~
・30歳男性 ・保険期間:終身 ・保険料払込期間:60歳払済
・低解約払戻期間:60歳 ・基本保険金額:100,000 米ドル
・月払保険料(口座振替扱):116.50 米ドル
出典:「米ドル建終身保険Candle[キャンドル]」の発売について ~米ドルで運用する外貨建終身保険を商品ラインアップに追加~
30年かけて支払った41,940米ドルを、払込を終えた直後には59,004米ドル、更に10年後には70,486米ドルで受け取ることが出来ます。
(一ドル110円とみた場合、30年間で支払った額4,613,400円が払込を終えた直後には6,490,440円、更に10年後には7,753,460円)
保険料の払い込みを終えた直後で140.6%。40年寝かせれば168%は他社の「外貨建て終身保険」と比べてもかなり高い返戻率です。
※もちろんこれには為替リスクが付きまといます!
為替リスク、他社商品についてはこちらから
繰り返しにはなりますが
死亡保障はあまり期待せず、将来の高い返戻率(資産運用)が保険で欲しい人
は検討の余地がある商品だと思います。
まとめ
以上、オリックスの「米ドル建終身保険Candle」でした。
死亡保障が限定的でもしもの時の死亡保障としては、やや信頼できないものの
貯蓄性という面でみれば優れた商品化もしれませんね。
興味がある方は、死亡保障が薄いという点を留意して、FPさん保険代理店さんに相談するようにしてください!!