外貨建の保険商品がお得です!
今は円の価値も保障されない!外貨でしっかり蓄えましょう!
〇年後の解約返戻金を見てください増えているでしょう!
なんて聞いたことありませんか?
しかしその一方で
外貨建ての保険は悪質な商品だ!
消費者センターへの相談増加!
なんて悪評も目立ち、近年ではこんなニュースが話題となりました。
今回は何故外貨建の保険商品に悪評が目立つのか考え、まとめてみました。
※あくまで金融業界に身を置く一個人の見解です。
外貨建保険については下記も参照
Contents
そもそも外貨建保険は絶対に儲かる商品なの?
外貨建の保険を進められた方は
絶対に儲かりますから!増えますから!プラスになりますから!
なんていわれた事のある方多いのではないでしょうか?
枕詞に「こんなこと絶対なんて言っちゃいけないんですけど」とか「約束利回りもありますし」をつけて
安心してください。
この「絶対もうかる」っていうのは正しいです。(最後まで読んでくださいね汗)
外貨建保険のリスク
先に挙げた記事の通り、外貨建保険にはいくつかのリスクやデメリットがあります。
・為替リスクと両替手数料
外貨建保険の多くは外貨で保険料を支払いますが、支払う保険料は分割払いの場合、都度為替の影響を受けます。
そして解約返戻金も外貨で受け取りますので、円に戻す時為替の影響を受けます。
これらはある程度調整できますが(円高の時に一括払い、円安の時に返戻金を受け取る等)基本的には不安定な物
・解約のタイミング
外貨建の保険に限らず、貯蓄性のある終身保険や養老保険は解約のタイミングが早いと、支払い保険料と比べて受け取れる解約返戻金のほうが低い商品になっております。
(終身保険の場合は必ず、ある程度の短期払いで!)
・死亡時の保障やその他費用が保険料から保険会社に支払われている。
貯蓄性のある保険商品は私たちが支払った保険料を運用し増やすことで、還元してくれます。
外貨建保険は海外で運用してくれてます。
とはいえ、あくまで保険商品、支払保険料のすべてが運用されているわけではないのです。
私たちが支払った保険料から
〇亡くなってしまった方へ支払う保険金の原資として
〇保険会社の人件費等(要は保険会社の利益)
〇その他費用(保険代理店や銀行へ支払われる手数料[利益]等)
を差っ引いて、残りが運営されているのです。
少し長くなってしまいましたが
さっきの「絶対儲かる」「増える」という言葉には
(為替リスクがあるので、なかなか考えられないような為替の動きをせず、円に戻すタイミングを誤らなければ)絶対に儲かるんです!
(払込を終えてから(一括払いの場合は一定期間)解約しなければ返戻金が目減りするけど、しっかり寝かせれば必ず増えるので)絶対に儲かるんです!!
(コスト(=支払保険料)のすべてが運用されるわけではないため、別の手段で同額、同利率の運用をした場合と比べると利益は減るけど、保障もあるし運用は保険会社がやってくれるので)絶対もうかるんです!!!
という言葉が抜けていた(きちんと伝えきれていなかった)のです。
外貨建保険は銀行等、金融機関で大流行した
そんな外貨建の保険ですが、主に銀行などの金融機関で積極的に(強烈に)販売されました。
融資による利益が思うように上がらなかった銀行が、利益を上げるため外貨建保険に目を付けたのです。
しかしながら、彼らは優れた融資のプロではありますが、保険の専門家、プロではありません。
買い手の多くは高齢者?
銀行側は個々人の口座の残高を把握しており、多額の預金を眠らせている高齢者がターゲットとなりやすい。(言い方は悪いですが・・・)
高齢者の方だから理解力がどうだとか、記憶力がどうだとかは、かなり失礼かもしれませんが
10年近く前に受けた説明をきちんと覚えていられるでしょうか?
また、高齢者が外貨建の保険に加入する場合、寝かせていた預金を保険に振り返る感覚で、一括払いの契約が多く
10年間払い込みは無しのため、どうしても意識から抜けやがち
現に、銀行への苦情の7割は高齢者だとか
冒頭であげた記事と同じですが、こちらの記事もご参考
リスクをきちんと説明しない、メリットを前面に推した売り方
物を売る・・・となったら皆さんはどうお客さんに売り込みますか?
当然商品のいい部分を積極的に伝えるでしょう。
さっき書いた
(為替リスクがあるので、まず考えられないような為替の動きをせず、円に戻すタイミングを誤らなければ)絶対に儲かるんです!
(払込を終えてから解約しないと返戻金が目減りするけど、しっかり寝かせれば必ず増えるので)絶対に儲かるんです!!
(コスト(=支払保険料)のすべてが運用されるわけではないため、別の手段で同額、同利率の運用をした場合と比べると利益は減るけど、保障もあるし運用は保険会社がやってくれるので)絶対もうかるんです!!!
ここまで酷い営業は流石に極端すぎですが
ノルマの厳しいであろう方々が巧みな営業トークで売ってくるわけです。
そりゃ、時間もたてば、いい部分しか印象に残りません
実際に私が某保険会社から説明を受けたときも
デメリットの解説もきちんとありましたが、各メリットの猛プッシュと(販売員の方が加入していたため)実績を開示され
「100%儲かるとは(保険業法上)言えないが、まず間違いなくプラスに受け取れます!」
なんて言われたので、絶対入ろう!とか思いました。
貯蓄性保険は流動性が低い、融通の利きにくい商品でもある
為替リスクと、低解約返戻金期間の存在のため
外貨建保険は預金の様に、おろしたいタイミングでお金を引き出すというわけにはいきません。
ある程度の期間はお金を寝かし、かつ円の相場を見極めたうえで返戻金を受け取らないと確実に目減りします。
急に体が悪くなり、介護費用が必要になった!急遽家を修繕するのにお金が必要になった!
といった、お金が必要になったタイミングと、円の相場や返戻金の運用具合が必ずしも一致するとは限りません。
このあたりの理解が、加入者側で不十分であり、クレームにつながったと考えられます。
まとめ
昔のように、高金利故に寝かせて置けば勝手に増えていた時代の貯蓄保険とは違い、
低金利下で利益を上げるため複雑化した外貨保険を、行き過ぎた営業のもと販売してしまった。
比較的長期的な運用が必要な商品のため、結果が出るのも長い時間が・・・
その結果リスクへの理解が薄れた消費者からクレームが多発した。
複雑な商品性と激しい売り込みがクレームを生んだ
これが1つの解だと私は思います。
結局、外貨建保険てどうなの?
さて、本記事だけでは外貨建保険のイメージが悪くなりそうですが
外貨建保険自体は、資産のリスク分散、死亡保障機能、(比較的有利な)貯蓄・運用性と優れた商品です。
これから、万が一の保障が必要となる若い方、高齢な方も余剰資金の範囲で加入する分には十分に検討する価値のある商品でしょう。
また、本記事はどちらかというと外貨建て保険に対し批判的な立場で書いていますが
では、肯定的に書いておりますので、両方目を通していただけると幸いです。
私自身もいまだ検討中・・・